GROUPBY関数 ● グループごとに集計する (3)関数の指定方法

[Microsoft 365]

Excelの GROUPBY(グループ・バイ)関数は、表のデータをもとにグループ集計を行う関数です。集計の計算方法は、第3引数[関数]で指定します。ここでは[関数]のさまざまな指定方法を紹介します。

GROUPBY関数の基本的な使い方やその他の引数については、以下の記事を参考にしてください。

スポンサーリンク

書式

グループごとに集計する
=GROUPBY(行フィールド, , 関数, [ヘッダー], [集計深さ], [並べ替え], [フィルター], [リレーション])

行フィールド]をグループ化して[関数]で指定した方法で[]を集計します。関数式は、動的配列数式として入力されます。

引数

引数 説明
行フィールド グループ化する列を配列やセル参照で指定する。複数の列を指定可能。
集計対象の列を配列やセル参照で指定する。複数の列を指定可能。
関数 集計方法を指定する。選択肢は SUM、PERCENTOF、AVERAGE、MEDIAN、COUNT、COUNTA、MAX、MIN、PRODUCT、ARRAYTOTEXT、CONCAT、SRDEV.S、STDEV.P、VAR.S、VAR.P、MODE.SNGL、LAMBDA。
ヘッダー 引数[行フィールド][]を指定する際に列見出しを含めて指定したか、戻り値に列見出しを表示するかを次の数値で指定する。省略時はExcelが自動判断する。
0 : [行フィールド][]に列見出しが含まれない。戻り値に列見出しを表示しない。
1 : [行フィールド][]に列見出しが含まれる。戻り値に列見出しを表示しない。
2 : [行フィールド][]に列見出しが含まれない。戻り値に「行フィールド1」「値1」のような列見出しを自動表示する。
3 : [行フィールド][]に列見出しが含まれる。戻り値に列見出しを表示する。
集計深さ 小計や総計を表示するかどうかを次の数値で指定する。省略時はExcelが自動判断する。
0 : 小計や総計を表示しない。
1 : 総計を表示する。
2 : 小計と総計を表示する。
-1 : 上部に総計を表示する。
-2 : 上部に小計と総計を表示する。
並べ替え 並べ替えの基準となる列の番号を、昇順の場合は正数で、降順の場合は負数で指定する。列の番号は、[行フィールド]と[]を横に並べて左から数えた番号で指定する。
省略時は[行フィールド]の昇順で並べ替えられる。
フィルター 集計対象を絞り込むための抽出条件を指定する。
リレーション 行フィールド]が階層になっている状態で[]を基準に並べ替える場合の並べ替え方を次の数値で指定する。
0 : 階層ごとに並べ替える(既定値)。
1 : 階層を無視して並べ替える。

第3引数[関数]の選択肢

GROUPBY関数の第3引数[関数]は、集計の計算方法を指定するための引数です。「SUM」を指定すれば合計、「AVERAGE」を指定すれば平均、という具合にSUM関数やAVERAGE関数の機能を使用した集計が行われます。ポップヒントの選択肢から選ぶだけで簡単に入力できます。

図1 第3引数[関数]はポップヒントから選択できる。

選択肢には下表の種類があります。表中の「イータ縮小ラムダ」「明示的なLAMBDA関数」については、本記事の最後に解説します。

関数]の選択肢

選択肢(イータ縮小ラムダ) 説明 明示的なLAMBDA関数
SUM 合計 LAMBDA(x,SUM(x))
PERCENTOF 割合 LAMBDA(x,y,PERCENTOF(x,y))
AVERAGE 平均 LAMBDA(x,AVERAGE(x))
MEDIAN 中央値 LAMBDA(x,MEDIAN(x))
COUNT 数値の数 LAMBDA(x,COUNT(x))
COUNTA データ数 LAMBDA(x,COUNTA(x))
MAX 最大値 LAMBDA(x,MAX(x))
MIN 最小値 LAMBDA(x,MIN(x))
PRODUCT LAMBDA(x,PRODUCT(x))
ARRAYTOTEXT 「,」で区切った文字列結合 LAMBDA(x,ARRAYTOTEXT(x))
CONCAT 文字列結合 LAMBDA(x,CONCAT(x))
STDEV.S 不偏標準偏差 LAMBDA(x,STDEV.S(x))
STDEV.P 標本標準偏差 LAMBDA(x,STDEV.P(x))
VAR.S 不偏分散 LAMBDA(x,VAR.S(x))
VAR.P 標本分散 LAMBDA(x,VAR.P(x))
MODE.SNGL 最頻値 LAMBDA(x,MODE.SNGL(x))
LAMBDA 独自に定義した関数

使用例1…基本的なグループ集計

図2では、第1引数[行フィールド]に「商品ID」と「商品名」のセルB2~C13、第2引数[]に「売上」のセルF2~F13、第3引数[関数]に「SUM」を指定して、商品ごとに売上の合計を求めています。

=GROUPBY(行フィールド, , 関数)

セルH2 | =GROUPBY(B2:C13,F2:F13,SUM)

図2 商品ごとに売上を合計する。
なお、集計結果の「売上」欄(セルJ2~J5)には、手動で通貨表示形式が設定してある。

図2の数式の「SUM」を「AVERAGE」に変えれば商品ごとの売上平均、「MAX」に変えれば商品ごとの最大売上、というように[関数]を変更することで集計の計算の種類を変更できます。ただし、どの計算をした場合も最下行の行見出しには「合計」「総計」などと表示されます。

使用例2…「PERCENTOF」で構成比を求める

関数]に「PERCENTOF」を指定すると、[]の列全体を100%として各項目の比率を求められます。図3では、各商品の売上構成比を求めています。

セルH2 | =GROUPBY(B2:C13,F2:F13,PERCENTOF)

図3 「PERCENTOF」を指定すると、項目ごとの構成比を求めることができる。

メモ

PERCENTOF関数
PERCENTOF関数をワークシートに入力して使う場合は、「PERCENTOF(数値,数値全体)」の書式で[数値全体]を100%としたときの[数値]の割合を求めます。下図の数式では、「10000÷(10000+6000+4000)」が求められます。
数値]にセル範囲を指定することもできます。下図の数式では、「(10000+6000)÷(10000+6000+4000)」が求められます。

使用例3…「ARRAYTOTEXT」で文字列データを「,」で区切って連結する

関数]の選択肢には、文字列連結を行う関数が「ARRAYTOTEXT」と「CONCAT」の2つあります。そのうちの「ARRAYTOTEXT」を使用すると、[]のデータをカンマ「,」で区切って連結できます。

図4では、所属ごとに社員名を表示しています。合計行は必要ないので、第5引数[集計深さ]に「0」を指定して非表示にしました。

セルF2 | =GROUPBY(D2:D9,B2:B9,ARRAYTOTEXT,,0)

図4 「ARRAYTOTEXT」を指定すると、項目ごとにデータを「,」で区切って連結できる。

図4の数式の「ARRAYTOTEXT」を「CONCAT」に変えると、「市川村岡江原」のようにデータが区切り文字なしで連結されます。

使用例4…「最高点と最低点」のように2つの関数を指定する

1列分の[]に対して複数の計算方法で集計するには、HSTACK関数を使用します。この関数は、引数に指定した複数の配列を左右に結合する関数です。

図5では、選択科目ごとに得点のデータ数、平均値、最大値、最小値を求めています。一番下の「合計」行には、得点全体のデータ数、平均値、最大値、最小値が求められます。また、一番上の行には使用した関数名が表示されます。

セルF2 | =GROUPBY(C2:C11,D2:D11,HSTACK(COUNT,AVERAGE,MAX,MIN))

図5 HSTACK関数を使用して「COUNT」「AVERAGE」「MAX」「MIN」を計算する。

戻り値の一番上に表示される関数名を非表示にしたい場合は、DROP関数を使用します。DROP関数は「DROP(配列,[行数],[列数])」の書式で、[配列]から指定した行数や列数を除外します。「DROP(配列,1)」とすると、配列の先頭から1行目を除外できます。

セルF2 | =DROP(GROUPBY(C2:C11,D2:D11,HSTACK(COUNT,AVERAGE,MAX,MIN)),1)

図6 DROP関数を使用して1行目を除外する。

ちなみに、図5の数式のHSTACK関数をVSTACK関数に変えると、集計値が縦に並びます。VSTACK関数は、引数に指定した複数の配列を上下に結合する関数です。

セルF2 | =GROUPBY(C2:C11,D2:D11,VSTACK(MAX,MIN))

図7 VSTACK関数を使用して「MAX」「MIN」を縦方向に表示する。

LAMBDA関数とイータ縮小ラムダ

ヘルプによると、GROUPBY関数の第3引数[関数]には「明示的またはetaの縮小ラムダ」を指定するとあります。[関数]のポップヒントには「SUM」「AVERAGE」「COUNT」などの関数名が並びますが、これらはLAMBDA関数の数式を簡略化したもので「イータ縮小ラムダ関数」と呼びます。

例えばイータ縮小ラムダ関数「SUM」は、「LAMBDA(x,SUM(x))」というLAMBDA関数式の簡略版です。GROUPBY関数の第3引数[関数]には本来「LAMBDA(x,SUM(x))」と記述するところを「SUM」と簡略記述してもよいことになっています。次の2つの数式は同じ結果を戻します。

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,SUM)

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,LAMBDA(x,SUM(x)))

図8 [関数]にはイータ縮小ラムダ関数とLAMBDA関数のどちらを指定してもよい。

イータ縮小ラムダ関数の例

イータ縮小ラムダ 説明 明示的なLAMBDA関数
SUM 合計 LAMBDA(x,SUM(x))
PERCENTOF 割合 LAMBDA(x,y,PERCENTOF(x,y))
AVERAGE 平均 LAMBDA(x,AVERAGE(x))
MEDIAN 中央値 LAMBDA(x,MEDIAN(x))
COUNT 数値の数 LAMBDA(x,COUNT(x))
COUNTA データ数 LAMBDA(x,COUNTA(x))
MAX 最大値 LAMBDA(x,MAX(x))
MIN 最小値 LAMBDA(x,MIN(x))

そもそもLAMBDA関数は、独自の計算式を関数化するための特殊な関数です。LAMBDA関数には、より便利に使うための「ヘルパー関数」が用意されています。ヘルパー関数とは、配列や値をLAMBDA関数の変数に渡す役目をする関数です。イータ縮小ラムダは、ヘルパー関数の記述を簡略化するための仕組みといえます。

GROUPBY関数は、ヘルパー関数の1つです。「LAMBDA(x,SUM(x))」のようにLAMBDA関数で変数を1つ指定した場合、GROUPBY関数から変数「x」にグループごとの配列が渡されます。また、「LAMBDA(x,y,PERCENTOF(x,y))」のように変数を2つ指定した場合、GROUPBY関数から変数「x」にグループごとの配列が渡され、変数「y」に列全体の配列が渡されます。

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,PERCENTOF)

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,LAMBDA(x,y,PERCENTOF(x,y)))

図9 変数「x」にグループごとの配列が渡され、変数「y」に列全体の配列が渡される。

GROUPBY関数の第3引数[関数]には、LAMBDA関数を使用して独自の計算式を指定することもできます。LAMBDA関数の1つ目の変数にグループごとの配列、2つ目の変数に列全体の配列が渡されることを意識して式を立ててください。2つ目の変数は指定しなくてもOKです。

図10では、「LAMBDA(x,y,SUM(x)/SUM(y))」を指定しました。「グループごとの配列の要素の和÷列全体の配列の要素の和」が計算されるので、求められる集計結果は「PERCENTOF」や「LAMBDA(x,y,PERCENTOF(x,y)」を指定した場合と同じになります。

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,LAMBDA(x,y,SUM(x)/SUM(y)))

図10 「店舗ごとの売上の和÷全店舗の売上の和」を計算して売上構成比を求める。

また、図11では、売上から税込金額を求めて合計しています。

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,C2:C9,LAMBDA(x,SUM(INT(x*1.1))))

図11 税込金額の合計を求める。

図11の数式は、次の数式と同じ結果になります。

セルE2 | =GROUPBY(B2:B9,INT(C2:C9*1.1),SUM)

なお、図10図11の数式ではイータ縮小ラムダのような簡略化は行えません。

スポンサーリンク

関連記事